[違う惑星の変な対談]莉子×筧美和子×みらん(TAMA映画祭の楽屋裏から)

左からグリコ役の筧美和子さん、ナカヤマシューコ役のみらんさん、むっちゃん役の莉子さん(映画初主演!)

『違う惑星の変な恋人』いよいよ公開となります!この度、昨年11.19(日)に行われた第33回TAMA CINEMA FORUMでの先行上映の舞台挨拶前、楽屋裏に集まった莉子さん×筧美和子さん×みらんさんにお手隙でインタビューを敢行しました!<聞き手:直井卓俊(企画プロデューサー)>

―――それぞれ最初に脚本を読んだ時の印象をお聞きしてもいいですか?

莉子:脚本は何度も変わったんですけど、その1番最初のものをいただいて。まず、役名もむっちゃんとかベンジーとか、あだ名チックというか。だから、まず誰がどこで何を喋ってるのかを頭の中で整理するのが大変でした。役名もカタカナとかひらがなとかだから、これはさっきの誰だ?みたいな(笑)文字だけだとなかなか理解できない部分が大きかったです。

―――途中で莉子さんが出てくれるかもっていう想定で監督が話を進めていってたんですけど、自分とキャラクターが近いところとかありました?

莉子:遠くはないなとは思ってたんですけど、やっぱり登場人物みんな愛くるしくもあり、ちょっと不思議というか。みんなちょっとどこか抜けてるというか。それを自然体に演じなければいけないなとは思ったので、自分とは別に遠すぎはしないけど、そこの塩梅がやりすぎてもちょっとコミカルになりすぎちゃうっていうか、そこは難しそうだなと思ってました。

―――筧さんはいかがでした?

筧:なんかすっごいめんどくさい人たちだなと思いながらも、嬉しくもなって。やっぱり監督が綿密にあのたわいもない会話をすごく愛情込めてシュールに描かれている。1つ1つのチョイスが大好きだなと思って、みんなで早くやれるのが楽しみになったんですけど、台詞量が多すぎて、そこで、大きな課題が(笑)…嬉しくもあり、重くもあり。約1年前ぐらいですけど半泣きになりながら覚えて、でも面白い〜みたいな感じでした。

―――14ページぶっ通しとかありましたよね。筧さんと中島さんの2人の所。

筧:あ、16ページです(笑)

莉子:えー!!

筧:私はその日、中島さんと2人で16ページだったんですけど、中島さんはその前にみらんさんともかなりやってて(笑)

莉子:中島さんヤバいですね。合計何ページ(笑)

筧:なんか「今日3ブロックぐらいあるよ…」って言ってました(笑)

―――みらんさんは演技自体も初めてでしたよね。

みらん:台本をもらうってこと自体初めてで。基本的に中島さんとのシーンが多いじゃないですか。だから、そこだけまず見て、で、どんなんだろうと思って見たら、すっごい関西弁だったから。

それにまずびっくりして。その関西弁も絶対関西人じゃない人が考えてるなって(笑)

莉子:そんな、ひどかったんですか(笑)

みらん:「おかん」とか言わないです、とか監督とちょっと話しました。初めてだったんで台詞が多いとか少ないとかいう感覚もわかんなかったです。あとは他のシーン見て面白いやりとりばっかりだから、どういう風になっていくんだろうなっていう楽しみがありました。

―――筧さんと、みらんさんはご自身とキャラクターっていうのはどう思いますか?

監督がいわゆる想像であて書きしてるんですけど。その時全く会ってないから。

筧:グリコは近くはないかな・・・。でも、なんか男女間とか、共感できる感覚はあって。そこを埋めるためっていうか、監督との話し合いで衣装として普段着てる私服を入れてみようってなって。

莉子:えー、そうだったんですか。全然知らなかった。

筧:私もちょっとそれは個人的に興味があって。服で結構テンション変わったりするじゃないですか。だから、私の中でグリコっぽいなみたいな私服を着たらちょっと感覚変わるかな、みたいな感じでやらせてもらって、はっきりとはわかんないんですけど、自分の動きとか布に覆われてる感じとか慣れてるものとかっていうのが少しは作用したのか、 そんな違和感なく演じられました。

みらん:私は監督から等身大でいいですよ、とは言われてました。でも私は普段あそこまでズバズバ言えないし。でもそれが役だとこんなに言えるんだっていう楽しさがありました。あと、等身大でいいから私も私服を織り交ぜながらやってました(笑)

莉子:えー!みらんさんもそうなんだ!

―――撮影の時のお話なんですけど、莉子さんと筧さんのシーンは結構あると思うんですけど、お互いの印象っていかがでしたか?

筧:確か出会った時、莉子さん19歳・・・?

莉子:そうです!撮影ちょっと前とかに20歳なったばっかりかな。

筧:そんなふうに思えないぐらい落ち着いていて、 堂々とされていて。この映画の空気感と莉子ちゃんの空気感がすごいフィットしてる感じがして、すごいその印象が強いです。なんかスーって入ってきて、自然体にぽわ〜ってやって「お疲れ様でしたー!」って。

―――そう言う印象ありますよね。むっちゃんは莉子さんが演じてくれたからこそのキャラクターなのかもしれないですね。

莉子:いやいやいや。逆に私は今まで原作ものとかをやらせていただく機会が多かったので、今回こういうジャンルの作品は自分の中でチャレンジというか挑戦みたいな部分がある中で、筧さんとご一緒させていただいた時に、台詞の言い回しが本当に自然体で。普段もこんな感じで優しく、ふわっとした感じで話しかけてくださるし、私は本当に助けていただいたことが多くて。やっぱり脚本が長くなってくると、私は自分の中でちょっと台詞っぽくなっちゃったりとかするんで、相手の台詞を受け取って出すみたいなのが本当に重要になってくると思うので、筧さんの空気感にめちゃめちゃ助けられちゃいました。

筧:いやいや、こちらこそ。

―――お3方にお聞きしたいんですけど、木村監督は今までお仕事されてきた中でもかなり独特な方だったと思うんですけど、そんなに演出とか色々言ってきてなさそうですよね。

莉子:そうなんですよね。初日からモーをどれだけ気持ち悪く見せるかに監督がハマり始めていて(笑)美容室のシーンとかあの、自動ドアのくだりとか、結構こだわってましたよね。ここでぶつかって、あ、もう1回そこで・・・みたいな。

―――登場シーンにこだわるのってどの監督でも結構あるんですよね。

莉子:ああ、確かに。だから監督は毎回全部のシーンに「ここはこうしていただいて」とかいうよりかは、何となく私の方ででやってみてっていう感じでした。「ボフレの“ボ“はボウリングのことです」とか、「これはボウリングフレンドのことですね」みたいな、本当にそのくらいのボソっていう感じが監督らしいなと思いました(笑)

―――特に苦労したシーンとかはありました?

莉子:そうですね。モーとのパンティ論争のくだり。大幅にカットされて悔しかったあのシーン(笑)

もう私の中で多分最長ぐらいの長さ。 あれは確か1回、2回やったのかな。でも、なんか別にそこも演出があったわけでもなく、「やりましょう」みたいな感じだったから、それはちょっとやっぱり監督ワールドというか。

―――そのカットしたシーンもいつか何かの形で出したいと思ってます!筧さんは監督の印象いかがですか?

筧:そうですね。とにかく、サッカーが好きで。何かすごい入れてくるんですよ、サッカーを(笑)サッカーとか映画とか監督の好きなものをとにかく詰め込んでいて。なんか、その解説をたまにしてくるんですよ。普段すごく静かなのに。撮影は楽しかったんですけど、出来上がったのを見てようやくこういうことをやりたかったんだってわかりました。不思議な画角で撮ったりもされてたから、出来上がってようやくなるほどねって。

―――みらんさんはどうですか。監督の印象というのは。

みらん:私はもう本当に何の指示もなかったに等しいくらい(笑)撮ってはまた撮って、何回も島さんとやって。監督のビジョンが多分あって、まあ言ってくれはしないんですけど、私たちがやってるうちに、「あ、もしかしてこういうことかも」みたいなのがちょっとわかってきたら、オッケーだったりして。あと、1番最初に私のことがどういう風に見えてたの分からないけど「僕は絶対に怒りません」って言われました。

莉子:確かに怒らない(笑)

みらん:怒らないけど、にしても何も言わないんで、何か言ってほしい気持ちもありました(笑)

筧:確かにね。何も言われなかったかも。中島さんがすこいアクティブで。

莉子:アイディアたくさん出してましたね。

―――莉子さんは中島歩さんの印象はいかがでしたか?

莉子:いや、もう中島さんは中島さんでしかないなっていうか(笑)お芝居のスタイルとかもそうですけど、アイデアをどんどん出してくださるので。私も「あ、そういうやり方もあるんだとか」って思ったり。あと本当そこで食べてたお菓子を「このまま食べ続けててもいいですか」みたいなのでどんどん生まれてくるから、本当に普段から作品が好きだし、お芝居が好きで、 自然体にやられてる方なんだなっていうのがすごい感じられて、勉強になりました。ホテルの朝食のオレンジ食べるシーンとか「むっちゃんはここ、まっすぐ俺のこと見ながらオレンジ食べてるんじゃない?」って言われて、あそこのシーン成立したので。なんかそういうのはあって、「あ、ちょっとやってみます」みたいな。ありがたかったです。

―――中島くんらしいですね。筧さんどうでしたか。

筧:そうですね。面白い方でしたね。共演は初めてでした。作品とかで拝見はしていたんですけど、なんかお会いしてみたら、本当にああいう空気感の方なんだっていう、すっごい、なんか独特なんですよね。常にこの作品のことを考えてあの期間生活されてて、誰よりもそういうアイデアとかめちゃくちゃ考えてくれてたんで、私もすごい助けられましたね。中島さんの直接言ってくれるアドバイスもそうなんですけど、一緒にやってると、意外なところから発見が生まれてくるんで。そういう意味でもシュールっていうか、生っぽさというか。中島さんからたくさんいただいたなと思います。

―――みらんさんは前に『愛なのに』(22)で主題歌をやられてて、それに中島さんも出てたんですけども。

みらん:そうですね。『愛なのに』見たのがきっかけで他の作品も色々見てって感じです。ご本人は想像通りでした(笑)撮影に入るとそうやってアイデアとかいっぱい出してくれるんですけど、私はちょっともうテンパってて余裕がなかったから「ちょっと待って・・・!」みたいになってたんですけど、中島さんがそれを見かけて、「頑張る理由は別になんでもいいんだよ」みたいな事を言ってくれて。「今日もう早く帰りたい、それだけでいいからやろう」、「とにかくやろう」って。それは全部気配りなんだろうなって思いました。

―――もう1人、綱啓永君なんですけれども。多分彼がやった中ではかなり異色だったと思うんですけど。

莉子:やっぱ同世代なので存在は存じ上げていたんですけど、現場は初めてでした。それで初めて見た時もあのキャラクターだったので。やっぱり最初のインパクトがかなり強いですけど、普段と役が全然違うので、すごいなと思います。スッて役に入ってる。別に違和感ないから。モーのおかげでだいぶこの作品が変だな、っていうキーになる存在なので。いい味っていうか。

―――筧さんは印象どうですか。モーくん。綱くん。

筧:確かに、ああいう変な役やるイメージなかったので、すごい面白くて。一緒になると「気持ち悪いね〜」って。褒め言葉で、本当にモーが気持ち悪ければ気持ち悪いほど面白くて。ちょっとこう、ここはフリーで喋っててくださいみたいな、4人でメニューを見てるとシーンがあって、突拍子もないことを言ってくるんですけど、それがすごいモーっぽくって。あ、なんかすごいなって。もう脳みそまでモーになってるっていうか。一生笑わせてもらってました(笑)

―――みらんさん、どうでしたか。モーくんっていうか、綱くんは。

みらん:キラキラな爽やかな人だなと思って挨拶して、映画を見てみたら、なんかウッてなるぐらい気持ち悪かったけど、でもなんかモーと関わってる時点でもうみんなそういうことなんだよな、みたいな(笑)本当にご本人に挨拶した時の印象からは想像できないくらいでした。

―――最後にご自身が思う見どころというか、どういうことでもいいんですけど、お聞きできたらと思います。

莉子:私、映画館であんなに笑い声をこらえたことなくて。試写で見た時、ちょっと面白すぎて(笑)東京国際映画祭でも皆さん笑ってくださってたみたいな話とか聞いて、やっぱり一番はシンプルに笑える。けど、ちょっとみんな本当に厄介で、ちょっと変な人たちが集まった作品になっていて。本当に愛おしい感じのキャラクターたちで、この映画見た後の感想みたいなのってそれぞれ捉え方違うと思うんです。だから皆さん脳を空っぽにして見ていただきたいなって思います。それぞれの楽しみ方で楽しんでいただければなと思います。

筧:タイトルとかポスターとか見ると、宇宙の話かな、と思うかもしれないんですけど、全然そんなことはなく。本当にそんな壮大でもない。その辺の人たちのお話なんですけど。なんか個人的には台本もらった時にも、こういう狭い世界の、でもなんかぎゅっと詰まってて、こういう感覚で楽しめる映画すごいありがたいなと思っていて。何か監督、たくさんこだわってくれてありがとう(笑)莉子ちゃんの言ってた通り、頭空っぽにして何も考えずに楽しんでもらえると思います。

みらん:そうですね。笑いに行こう、面白いもん見に行こう、ぐらいの心構えでいた方が、より楽しめる気がします。あとは、結構映画のことをしっかり考えて主題歌を作ったので世界観を最後まで含めて楽しんでいただけたらいいなと思います。歌詞はいろんなキャラクターがいるけど、全部肯定できるようにしたいなっていうので、 考えたり。指を指すシーンがあったりするのでそういうワードを入れてみたりとかしたので、映画を見て余韻に浸りながらぜひ曲を聞いてほしいなと思います。(了)

→|「違う惑星の変な恋人」公式サイト

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